「商品力」について書きました

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商品力

 

商品力はとても重要である。良い商品ができたとしても、実際に消費者に買っていただかないことには、企業は存続が困難となる。

古い資料であるが、2006年版中小企業白書によると、企業生存率は、起業10年で26%(製造業・従業員4名以上)である。つまり、起業しても4社に3社は10年後には倒産しているという現実がある。

株式会社龍の瞳は、今年10月に創業12年の節目を迎える。公務員からの転職・創業であり、私の経営能力に鑑みると「今まで、良く続いて来た」と思っている。

倒産の理由は、資金ショートがほとんどとか。逆にいうと、お金が回っている間は潰れない。

商品が売れなくなる、売れていても利益率が低下するということは、企業にとって死活問題。売れる商品を作ろうと必死になり、次から次へと新商品が生まれて、ほんの一握りが残っていくというのが実態ではないだろか。すでに売れている既存の商品群があり、そこに割り込む形になるからだ。

お米の世界でも同じことである。コシヒカリという36%を占める米市場の中に、例えば「新之助(新潟県)」、「ひゃくまん穀(石川県)」などの新品種が参入し、まさに米戦国時代の様相を呈している。

お米屋さんも消費者も選択の余地は増えたものの、ある意味、困惑しているのではないだろうか。

当然、そこには味や価格などの産地間や品種の激しい競争が生まれ、生き残っていくのが難しい。お米の場合は、毎年1%程度需要が減少しているのでなおさらだ。構造的にはお酒業界も同じだと思う。

「龍の瞳」は、奇跡的な発見というストーリー性、見た目の大きさ、今までにない良食味という商品力で生き残ってきた。さらに、特に都内のデパートでは、あちらこちらで取り扱われるほどに浸透している。

品種の特性である、玄米が割れやすいこと、穂が出てから刈り取りまでの日数が長いのでその間に病気になることや、農薬を押えていることから栽培が難しいことなど、様々な欠点がある品種である。生産者に対する栽培指導、弊社の精米技術などを磨くことで乗り越えてきたし、現在でもその努力を続けている。

「龍の瞳」に限ったことではなく、どの企業でも行われていることであろう。しかし、その努力の度合いが将来の商品力を決めるということも事実である。その結果として、昨年よりは少し進化した「龍の瞳」をお届けできていると思う。

今年の1月から私も含めて複数の社員が、とあるマーケティング研修に参加して、「どうしたら売れる商品ができるのか」について学んでいる。パッケージデザインは、私が想像していた以上に重要であることに気づかされた。

人間の嗜好は、大きな違いがない。色彩感覚、形の好み、文字の配列などなど。商品陳列棚で、対面販売でなければ通常、商品と買い手は無言で向き合っている。どの商品に手を伸ばすか、何に注目するのか、いつも買っている商品でない限り、お客様はパッケージと価格で購入する商品を決めることになる。

私も含めて、それを本当に理解している商品開発担当者は少ないと思う。

「龍の瞳」の関連商品として、お酒やレトルトご飯、米せんべいなどを製造してきた。売れないなどの理由で製造中止にした商品も多い。

「龍の瞳」というお米のブランドがあっての関連商品であり、土台が崩れたらすべてなくなってしまう。

冒頭に書いた、企業の存続に資する対策は、危機管理能力、ニーズに合った商品作りだと言われている。私も最近、そのことを強く認識するようになった。

「昔、龍の瞳という米があったなぁ」などと言われないように、ひとつ一つ課題を乗り越えていきたいものである。

 

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