たる7月号 企業の盛衰

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生物はもちろん、人の関わるもののほとんどに幼年期、成長期、成熟期、衰退期がある。何をしなければならないかを決めるうえで、現下がどの時期に当たるのかを見極めることは非常に重要である。
個別の商品も、このサイクルは当てはまるものの、時代の波が大きなインパクトを与えることもある。幸いなことに弊社の携わるお米については、日本では3000年以上前から連綿と続いてきただけに、昨今の目まぐるしい生活様式の変化のなかでさえ、時代の影響を受けにくい産物に違いない。
さて、前述したサイクルを弊社に当てはめて考察したい。
幼年期以前の「誕生期」、会社組織にもなっていない時期である。精米機さえも備えていなかった。仕方がないので、コイン精米で夜中に数十㎏の精米を行っていた。幼年期、ようやく精米機などの機械一式を入れたものの、そこは納屋の一角であった。弊社が「農家の納屋から始まった」と言われる所以である。家族経営が主体でパートさんが二人いる、合資会社として業務を始めた。

成長期、2006年に全国・米食味分析鑑定コンクールで金賞を獲得。その後、NHKの食の情報番組『たべもの一直線』、朝日放送系列の『旅サラダ』などに相次いで出演し、全国的な注目を集めた。今から思えば、この頃、私は地に足が付いておらず、がむしゃらに頑張った時代であった。まさに「商品力」だけで成長を続けていた。落とし穴もいくつかあったものの、何とか乗り越えることができた。
現状を見ると、売り上げは以前のような伸びはないけれども、経営状態はずいぶんと良くなってきた。人財も、育ってきている。今が成長期のただなかにあるのか、あるいは次のステップである成熟期に入ったのか、はたまた岐路に立っているのか…。
経営というものは、一人の力では進めることができない。従業員の力があって初めて業務が回り、収益が出る。従業員のやる気やスキルを上げるにはどうしたら良いのか、これは、世の経営者が抱える、共通の悩みであろう。
特に、成熟期になると売り上げや利益が伸び悩む。どこに活路を見出すのか、どのように安定させるのかについて、考えなければならない。経理を学んだり、整理整頓に務めたり、おにぎり店の立ち上げやグローバルGAPの取得など様々なことに挑戦して、失敗も成功も重ねたこの数年間を経て、ようやく落ち着いて本来の仕事ができるようになってきた。
経営者は一歩前を進んでいなければならない。そのためには、三歩前を見据えておく必要がある。けれども二歩以上は、実際に進んではいけないと思う。本当に、微妙な立ち位置なのである。
さて、衰退期、やがては訪れるのが常である。最近のコロナ禍において、突然の危機に耐えきれない企業体質に陥っていて、大手でも倒産するという事例があった。
同様の危機を、多くの企業が何とか乗り越えていることを考えると、酷な言い方かもしれないが、何らかの構造的な問題をすでに抱えていてそれが危機の中で露呈したのだろうとも推察できる。
社会から商品と組織が支持されていることは、重要である。愛され喜ばれていること、必要とされていること、目指すコンセプトが崇高であること。
弊社が今後、どのような会社になって行くのか、それは自らで決めることであり、想いを広げつつ足元を固めて切り拓いていかなければならない。
十年ぐらいたって、この原稿を振り返る機会があれば、何を行い、どのように歩んできたのか、懐かしく思い起こすに違いない。そのことが、楽しみでもあり、一抹の不安も感じる。しかし確実なことは、「日々是好日」の結果が、そこに繋がっていくということ。それだけは、サイクルのどの段階にあっても多分変わらないのだろう。

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